『カキフライが無いなら来なかった』を読んで




お笑い芸人の又吉直樹と作家で俳人のせきしろによる共著。
ページごとにふたりの俳句が交互に並び、時折その俳句にちなんだ短いエッセイも収録された一冊である。

俳句のことは正直よく知らなかったのだが、短い言葉のなかにそれぞれの独特な温度感がぎゅっと詰め込まれていて、見えない文字の先に続いているであろう情景や出来事を想像するのが楽しかった。

もし又吉さんが夕焼けのようなオレンジ色のあたたかさを帯びているのであれば、せきしろさんは冬の空気のようなしんとした、静かで少し鋭い青白さを思わせる。
ふたりのコントラストがまた面白い。

1回目でさらっと読んだときには、圧倒的に又吉さんの俳句に共感していた。
けれど改めて2回、3回とじっくり読んでみると、せきしろさんの俳句には、あとからじわじわと沁みてくる味わいがあることに気づかされた。

印象に残っている句をぽつぽつと引用しておく。

  • ほめられたことをもう一度できない(又吉直樹 p27)

  • すまないが狐の影絵しかできない(せきしろ p38)

  • 自販機を同時に押した少し嫌な方が出た(又吉直樹 p49)

  • 潰れた店の中造花だけ生きている(せきしろ p252)

『カキフライが無かったら来なかった』せきしろ×又吉直樹


◼︎『カキフライが無いなら来なかった』せきしろ×又吉直樹(幻冬者)
https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344016958/

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